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Retailing Works.チェーンストアの工業化を考える

週刊連載 / 第1回

新商品を入れる前に、
商品部と店舗でそろえる五つのこと

一つの商品を選び、五行のメモにするところから始める。

公開日:2026年9月28日

新商品の導入を決めたら、商品情報を登録し、発注して、棚に並べる。その間には、いくつもの判断と受け渡しがあります。

例えば、商品は届いているのに、売価表示が間に合わない。棚を替えたが、補充の条件が以前のままになっている。これは説明用の場面ですが、仕事を一つずつ見ているだけでは、こうしたつながりを見落としやすくなります。

今週は、新商品を一つ選び、商品部と店舗で先にそろえることを考えます。

1.誰の、どんな用途に応えるのか

その商品を入れる目的を、一文にします。「新商品だから」だけでは、売場で何を確かめればよいかが分かりません。

誰が、どんな場面で使う商品なのか。いまの品揃えでは何が足りないのか。商品部の仮説を、店舗でも理解できる言葉にします。

2.何を、いつ変えるのか

対象の商品、売価、棚位置、陳列量、納品・補充条件を、変更前後で記録します。開始日だけでなく、商品情報の登録、納品、売価表示、棚替えがそろう順序を確かめます。

ここでいう「そろう」は、指示を出した状態ではなく、店舗で販売を始められる状態です。

3.誰が判断し、誰が実施するのか

商品部が決めること、店舗が確認すること、実施責任者、条件がそろわないときの相談先を明らかにします。

権限や作業時間が足りない場合は、そのまま現場に任せず、管理者が実行条件を整えます。担当者名だけを書いても、動ける仕組みにはなりません。

4.実際にできたことを、どう返すのか

予定どおりに変えたことと、変えられなかったことを分けて返します。実施日、実際の棚の状態、欠品や納品の状況を、後から追えるようにします。

差異の記録は、次の計画を直す材料です。事実と、その原因についての推測も分けて残します。

5.何を見て、次を決めるのか

販売数量や荒利高に加え、欠品、値引き・廃棄、補充作業、周囲の商品の動きを確かめます。対象と期間をそろえ、売場が計画どおりになっていたかを一緒に見ます。

試す期間と判定基準は、商品の特性や確かめたいことに合わせ、開始前に決めます。

今週、自分の仕事で試すこと

次の導入商品を一つ選び、商品部と店舗で、次の五行を埋めてみてください。

  • この商品を入れる目的は何か。
  • 変更する内容と、販売開始までにそろえる条件は何か。
  • 判断する人・実施する人・相談先は誰か。
  • 実施した事実と差異を、いつ、どこに残すか。
  • 何を見て、継続・修正・中止・追加確認を決めるか。
記入例を見る(説明用の例)

ヨーグルトの容量の選択肢を増やす場面を想定した、説明用の例です。実在企業の実績ではありません。

目的
想定する用途に対し、今の品揃えで足りない容量の選択肢を補えるか確かめる。
変更内容と条件
対象商品・売価・棚位置・陳列量・初回納品と補充条件を、変更前後で記録する。商品情報の登録、納品、売価表示、棚替えがそろってから販売を始める。
判断・実施・相談先
商品部が案を作り、店舗が実行条件を確認する。実施責任者は店舗の部門責任者、条件がそろわない時の相談先は商品部の担当者。
事実と差異
実施した日に、実際の棚の状態と欠品・納品の状況を、共有の記録に残す。
判定
開始前に決めた期間と基準で、販売数量・荒利高に欠品・廃棄・補充作業を添えて見て、継続・修正・中止・追加確認を決める。

MD特集の記入例を見る →

埋められない行があれば、次の打合せで確かめる論点になります。その一つを明らかにするところから、仕事の設計図を育てていきます。

本稿の場面は説明用の例です。第2回以降は順次公開します。
佐々木桂一

佐々木 桂一

リテイリングワークス株式会社 代表取締役

リテイリングワークス株式会社 代表取締役。ジェーソン社長として株式上場、大黒天物産副社長として東証一部昇格、富士薬品専務としてドラッグストア事業の売上高3,000億円突破に携わる。バイヤーから物流・IT・経理・人事まで自ら担い、小売業の仕組みづくりを支援。

Retail-Pで、役割と仕事を学ぶ

商品部・店舗の役割を教材で確認し、一つの仕事で試してみましょう。