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Retailing Works.チェーンストアの工業化を考える

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経営コラム

小売業における「科学的発想」とは? 成功を決める"最初の工程"の重要性

2026年2月15日

はじめに

「なぜ、現場の改善活動が成果に繋がらないのか?」 多くの小売業が抱えるこの悩みに対し、一つの明確な答えがあります。それは、ビジネスを「科学的」に捉えられていないことに起因しているかもしれません。今回は、小売業を「工業化=工程化」という視点で再定義し、真の業務改善を実現するための原則について解説します。

1. 科学的発想=工業化=工程化

まず、小売業における「科学的発想」とは何かを定義しましょう。それは、業務を職人芸や勘に頼るのではなく、「工業化」し「工程化」することです。

工場で製品が作られるプロセスのように、小売業の業務も一つの「流れ(工程)」として分解することができます。漠然とした「商売」として捉えるのではなく、明確なインプットとアウトプットを持つ「工程の連なり」として可視化すること。これが科学的アプローチの第一歩です。

2. 工程改善の2つの鉄則

業務を工程化できたら、次はその改善です。ここには絶対に外してはならない2つの原則があります。

  • 原則①:上流工程から改善する 川が濁っていれば、下流でいくら水をろ過してもきれいにはなりません。ビジネスも同様で、下流(店舗オペレーションや接客など)で発生している問題の多くは、実は上流(商品計画や物流など)に根本原因があります。
  • 原則②:工程ごとの数値を分析改善する 「頑張る」「意識する」といった精神論は排除します。各工程におけるパフォーマンスを「数値」で測定し、その数字に基づいて改善策を打つ。特に大切なのは、この数値による管理です。数値なき改善は、ただの感想に過ぎません。

3. 小売業における「最上流」とは?

では、小売業において最も重要な「最初の工程」とは何でしょうか? それは「商品構成・品揃え(MD)」の決定です。

上の図のとおり、「ここが決定しないと後工程が決まらない」のです。

  • どんな商品を売るか決まらなければ、棚割りは決まりません。
  • 棚割りが決まらなければ、発注数は決まりません。
  • 発注が決まらなければ、物流も店舗作業も決まりません。

現場のオペレーションが混乱している場合、その原因は現場スタッフの能力不足ではなく、最初のボタンである「商品構成」の曖昧さや不備にあるケースが圧倒的に多いのです。

まとめ:後工程を楽にするための「科学」

「品揃え」という最上流工程を、数値に基づいて科学的に決定する。これこそが、その後に続く物流、店舗陳列、販売といった全ての後工程をスムーズにし、ムダを排除する鍵となります。

精神論や経験則から脱却し、「工程」と「数値」でビジネスを動かす。この科学的発想への転換こそが、現代の小売業に求められている進化なのです。

佐々木桂一

佐々木 桂一

リテイリングワークス株式会社 代表取締役

リテイリングワークス株式会社 代表取締役。ジェーソン社長として株式上場、大黒天物産副社長として東証一部昇格、富士薬品専務としてドラッグストア事業の売上高3,000億円突破に携わる。バイヤーから物流・IT・経理・人事まで自ら担い、小売業の仕組みづくりを支援。